スザンネ印光さん

スザンネ印光正然さん インタビュー

 

 初めて坐禅をしたのは13年前。友達に勧められて近所の坐禅会に行き、自分でも驚くほど禅に惹きつけらるものを感じました。
それで定期的にそういった坐禅会に参加するようになり、一層関心が深まりました。人に薦められて中川正壽老師の『人間だから坐禅する』を読み感銘を受けました。それで中川老師の禅道場を訪ねていってみたいと思いました。

 初めて普門寺を訪れた時、その静粛な精神的環境、住み込み修行のカリキュラム、周りの美しい自然などに心を魅かれ、どうしてもここで修行を続けたくなり、すぐに会社を辞めて入門することを決意しました。中川老師の指導が日常的に受けられるのも魅力でした。プロテスタントの両親は驚いて反対しましたが、迷いはありませんでした。9年前のことです。それからずっと普門寺に住み込んで修行に励んでいます。

 普門寺での生活は何もかも新しく、エキゾチックで慣れぬことばかり。最初の頃はストレスも多くて疲れがたまっていました。なかでも1日に何度も繰り返し坐り続ける接心が一番きつかったです。
当時はまだ作務を中心に本館の改築が進んでいたためあわただしく、膨大な量の雑用をみなで分けてこなしていました。疲れきっているのにそれでも作務でみんなのご飯を作ったり、他の人の世話をしたりしながら、わたしはいったいここで何をしているのだろうと自問することもよくありました。
精神的、肉体的に自分を追い込み、疲れ果てもう限界だと思いながらも無理して続けているうち気がつくと心が安らかになっている。それの繰り返しで今に到っています。

 だんだんマンネリになり、精神的にいきづまっていた時にサンフランシスコ禅センター(鈴木俊隆老師設立)に滞在する機会がありました。そしてアメリカの人達とセンターで共に生活しているうちに自分がドイツ普門寺でしている事の意味がすっと理解できたのです。離れてこそわかる事もあるものですね。それから精神的に楽になり、自分が普門寺で何をすべきかが見えてきました。
これからも普門寺に腰を据え、この寺の発展を共に作り上げていきたいと思っています。

 規則正しい生活と気功が功を奏したのか、気がつくと体が弱かったはずのわたしはとても元気になっていました。わたしは気功の先生になる資格取得のコースを受けに年に何回か出かけてきましたが、この間第一段階の試験にパスしました。

 受身ではなく、自分から普門寺を共に築きあげたいと思い行動するようになり、引っ込み思案だったわたしはいつのまにか老師や周りの人からも、この頃は元気でエネルギーにあふれていると言われるようになりました。

 

 坐禅三昧の厳しい修行をした後の充実感と爽やかさが好きなので、スタッフ一同の夢でもあった「長期禁足修行」をようやく文字通りすることができるようになったのが嬉しいです。

 スタッフの家族は3泊まで無料で普門寺に宿泊することができるので、わたしを心配する両親は南バイエルン旅行と組み合わせて何度か泊りがけで普門寺にわたしの様子を見に来ました。そして少し時間はかかりましたが、だんだん普門寺で修行していくことが私の選んだ「道」だということを理解し、わたしの選択を認めてくれるようになりました。

 わたしが住み始めた頃から、普門寺にはルートが指導する「癌患者の自助コース」に老師の講話を組み合わせた講座がありました。そのため癌患者の方々と接しさまざまな話を聞いていました。
数年前のことですが、突然母が癌であることがわかりました。すぐに、自らも癌を克服した経験があり幅広い知識があるルートに相談したりして、わたしなりに母に対して心構えや食事療法なども含んだ総合的視点からの具体的なアドバイスをし、励ますことができました。私も大変ショックでしたが、ここで学んだことが身についてきたのでしょうか、母のことも静かに現実を受け入れることができています。

 「真っ直ぐに心を正して誠実に今を生きる」
老師がよく言われるこの言葉をいつも心の中で繰り返し、生活の座標にしています。
凛とした静けさの普門寺に坐しているとここで修行をすることができる喜びを感じます。

 

(2011年11月)