マリア円光さん

マリア円光・ホーフマイスターさん インタビュー

 

 宗教や精神的な世界に子供の頃から興味があり、そういった関係の本をたくさん読んで思索に耽るのが好きでした。
カトリックの家に育ったのでキリスト教は今でもわたしの根底に根付いていると思いますが、教会の教えに物足りなさを感じていました。

 精神的な世界をもっと深めたいと思っていた80年代にユダヤ系ドイツ人の尼僧アヤ・ケマのメディテーション・コースに顔を出したのがきっかけで仏教に興味を持つようになりました。
それから色々本を読んだり調べたりしているうちに直心会の存在を知り、ミュンヘンの参禅会に参加。そこで中川老師に出会いました。
この方こそわたしがずっと捜し求めてきた本物の禅の師で、このやり方こそが私が長年求めてきたものだという強い確信を得ました。

 

以前は私立のシュタイナー学校で教師をしていました。その学校では、クラス担任を8年間勤めると1年間有給休暇が取れる制度があります。それを利用してとりあえず1年間滞在して試してみようと思い、2006年10月に普門寺に来て修行を始めました。
老師について修行生活をしているうち、この生活・修行こそが自分の人生にとって本当に大事なものだという思いがどんどん強くなり、学校を辞めて修行を続ける決心をし、それ以来普門寺で生活しています。今ではここでの修行生活がわたしの人生そのものです。

 作務で多岐にわたる雑多な事務仕事を一手に引き受けてこなさねばならぬのが初めはストレスでしたが、いつのまにか仕事をすることも坐禅の心とつながるようになり、やっと坐禅が生活の中に身についてきたと感じています。

 普門寺に希望することですか?
希望というのではないですが、じっくり腰をすえて長期にわたり住み込んで共に修行していくスタッフがあと2名くらい増えてくれるといいですね。みんなそれぞれの生活があるので長期となるとなかなか難しいのはわかりますけれど。作務で大工仕事や庭仕事ができる人が今いないのでもしそれができる人が来てくれれば本当に助かります。
ここは修行道場ですのでそれなりにしっかりした心構えは必要ですが、改修工事に追われていた時代は終わり、今の普門寺はしっかり修行をしたい人にはとても理想的な環境だと思います。

 

 わたしの子供達は既に大きくなって家を出ています。帰る家がなくなってしまったと文句を言われたこともありましたが、今では時々普門寺に泊まりがけで会いに来てくれます。子供達もわたしをだんだん理解してくれるようになってきました。

 普門寺にはみんなのマスコットの猫の「チッタ」がいます。本当に気性のよいおとなしい猫で、堂頭の大きな椅子に寝そべるのがお気に入りでそこはチッタの席になってしまいました。椅子を取られた堂頭はその横の小さな椅子に座っています。ペルシャ猫の血の混ざったこの猫の毛の手入れは私のお気に入りの仕事で、わたしのほっとできる時間です。

 わたしは長年お茶を習っています。ローマにおられる裏千家の野尻令子先生がローマ・ウィーン・ミュンヘンでセミナーを行われるときには普門寺の都合がつけば(大概大丈夫ですが)参加します。毎週は行けませんがミュンヘンでドイツ人の男の先生にも習っています。でも禅堂の隣に8畳の和室があるので、普門寺でコースのない昼休みに十分稽古はできています。お手前に集中すると心が落ち着いてきます。
こうしたことのできる普門寺の日常生活に感謝しています。

 昨年から長期の禁足安居が始まりました。とても厳しい修行ですが、他のことに煩わされず集中的に修行でき、雲がかかっていたのが晴れてくるような目覚めが感じられるのが楽しいです。
静かに坐していると自ずから物事が見えてくるのを感じます。

 

(2011年11月)